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コラム

『罰金1万円を申し受けます』って?

駐車場に見かける貼り紙。
繰り返される無断駐車に業を煮やして、あるいは予防策として、こんな貼り紙の効果に期待する向きも少なくない。
現実に、どの程度の効果があるのかは不明だが、ある程度の威嚇効果はあるのだろうか。
で、問題は、それにもかかわらず無断駐車をされた場合、どうなるのか。
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貼り紙の主が無断駐車を発見。隠れて運転手が現れるのを待つ。現れた運転手と口論となる。形ばかり謝罪する運転手に罰金の支払いを要求する。
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あるいは、いくら待っても現れない運転手。貼り紙の主は業を煮やして車の窓に紙を貼り付ける。『罰金1万円です。至急ご連絡ください』
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しかし残念ながら、一般国民に、罰金を設ける権限はない。罰金と称して一方的にお金を請求する権限もない。罰金は刑罰のひとつで、国が、法律により独占的に設けることになっているからだ(例外は条例)。納付されると国の収入になる。
だから「罰金1万円」の貼り紙をしても、法律的には何らの効力もない。
刑罰を設定する権限がなければ、何を決めても、どんな意思表示をしても、法律的に意味を持たないのである。
これに対し、契約できちんと決めたことは、法的に効力を持たない訳ではない。
たとえば、自治会などで、ゴミ出し方法の解決策として、全員で協議し、全員が署名して罰金制度を作ったとする。これだと、余程、非常識な内容でない限り、効力を持つことがある(非常識な場合には公序良俗違反として無効になる)。
ただし、これも契約、すなわち合意の効力によって法律上、力を与えられる仕組みなので、契約しない人、合意しない人に対しては原則的に効力がない。つまり、多数決で決めてもダメである。多数決は、契約ではないからである。
「全員が署名して罰金制度を」と書いたが、もちろんこれも比喩の問題であり、本来の罰金制度でないことは言うまでもない。罰金制度に似たペナルティ制度という意味である。
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では、このような法的な効力を生む源泉は、どこから来るか。
この根源は日本国憲法である。
誰かが勝手に決めても、他人に強制できない。強制を、国が助力したりしない。
これは、憲法第13条などから導かれる。
憲法第13条は、「すべて国民は個人として尊重される」と宣言している。
個人として尊重されるので、他人の行為や意思に振り回されない。本人に責任のあることにしか責任を問われない。
戦前の隣組制度では、連帯責任を負わせて互いを監視させ合うようなことがあったが、日本国憲法の下では許されない。
同様に、家族という制度を作って家族単位で責任を負わせることも、現在の日本国憲法の下では許されなくなった。父親が借金を作っても、子供が背負わされることもなくなったし(相続の際も放棄できる)、夫婦間、兄弟間も同様である。
このことを、「法的に夫婦は他人、兄弟は他人、親子は他人」などと表現することがあるが、これは個人を個人として尊重し、その権利義務を規律しようという、日本国憲法の原理を表したものである。
現在、これに逆行する動きがあるが、その危険性を見る必要がある。
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だから、無断駐車は、罰金ではなく、違う手段を考える必要がある。
たとえば、「無断駐車大歓迎。駐車料金は1時間1万円。ナンバー自動撮影しているので個別の申告不要です。」などの看板を立て、ウェブカメラなどを設置。
これは申込の誘因などといわれるもので、この看板のある駐車場に止めると、駐車契約成立などとされる余地が生まれてくる(民法526条2項)。一方的に請求するのではなく、合意とみなされる可能性が生まれるからである。
もちろん、「1時間1万円」は真意ではないとか、公序良俗違反だとかの議論は生むかもしれないが・・・・。
                                                     (芝刈り)
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